第1節 TS_Searchプログラムマニュアル


T.TS_Searchプログラム利用の流れ

 TS_Searchプログラムを用いた遷移状態探索の方法を以下に記す・

  1. GaussViewやWinMOPACなどの分子モデリングソフトウエアを用いて反応物または生成物を作成し、保存する。必要であれば構造最適化を行う。

  2. TS_Searchで作成した構造を読み込む。

    1. GaussViewで作成した場合は、FileTypeはGaussian、WinMOPACやDMostarで作成した場合はMOPACラジオボタンをクリックする。


    2. 分子構造ファイルの読み込み
      1. 分子モデリングソフトウエアで作成された構造は、display Mol.ボタンで読み込む。
      2. Extract Zmatボタンで最適化された構造を抜き出す。
         (確認)MOPACプログラムを用いた場合、アーカイブファイル(ファイル名.arc)を指定する。この操作により、アーカイブファイルから最適化された構造が抜きだされ、「ファイル名.mop」が作成される。
         (確認)Gaussian98で最適化された場合、計算によりできるlogファイル(ファイル名.log)を指定する。抜き出されたファイルには、「ファイル名.crd」の名前で保存される。
      3. 以前計算して保存されたFileを用いる。
         Display Molボタンでファイルを指定する。指定するファイルは、拡張子mopまたはcrdを持つファイルが該当する。

    3. JMol による指定した構造の確認
       JMolでFile-Openを選択する。例えばWindowsではc:\temp\temp.xyzを読み込む。
      (注意)このファイル名は、作業用のフォルダの設定により変化する。作業用フォルダをd:\jmolとした場合、ファイル名はd:\jmol\xyz.xyzとなる。
      Linuxでは、例えば~/tmp/xyz.xyzである。

    4. 各ボタンを用いて遷移状態探索を行う。

      1. MOPACを用いる場合には、以下のボタンを用いる。


        MOPACを用いた場合、次の3つのTS探索法を使うことができる。

        • Minimum Energy Path計算
        • エネルギー等高線図法
        • 置換基法(Substitution及びRing)
    5. Gaussian98を用いる場合


      • Minimum Energy Path計算
      • 置換基法(Substitutionのみ)
        第4節 Win MOPAC を用いた反応解析はこの使い方を用いる。

    6. 計算が完了したらExtract Zmat.ボタンで最適構造を抜き出し、その構造をJMolで確認する。

    7. 遷移状態であることを確認するために、Gaussian98を用いた場合にはで、MOPACの場合にはを用いて、振動解析を行う。

    8. 振動解析の結果を、Display Vibボタンを用いて確認する。Display Vib.ボタンで振動のアニメーションを行う場合は、ファイル名c:\temp\vib.xyzを選ぶ。

    9. A.に戻る。


  3.  以下に示した@〜Hの計算は次のようにまとめることができる。


U TS_Searchプログラムの使用上の注意

  1. Windows を用いてTS_Searchプログラムを使用するときは、c:\burn\tsフォルダにあるenv.datを編集して、各パソコンに合わせた環境設定を行う。
    c:\temp\ TS_Searchプログラムのワークエリア
    \ セパレータ、Unixの場合は/
    c\burn:\ts Help等が入っているフォルダの名前
    c:\Winmopacv2\mopac97.exe MOPAC実行フルファイル名
    c:\burn\reaction 遷移状態データベースのフォルダ
    c:\burn\ts\lib2 置換基ライブラリのフォルダ
    c:\burn\ts\ring 環状置換基ライブラリのフォルダ
  2. 富士通のWindows版MOPAC(MOPAC97,MOPAC2000等)が使えない場合は、MOPAC名を「MOP7P」とする。これにより、フリーのMOPAC7を使用することができる。このとき、mop7p.exeをc:\ts」フォルダに格納しておくことが必要である。

  3. Linuxにおけるuenvファイルは、次のような形となる。ただし、ユーザー名や使用できるMOPAC、Gaussianのバージョンによりかなり形が違う。そのため、ユーザの実行環境に従って変更する必要がある。わからない場合は、Unixのことを詳しく知っている人に尋ねるとよい。



V. TS_Searchプログラムの各ボタンとの機能

1.Gaussianウィンドー


下の図に、TS_Searchプログラムのオープニングウインドーを示した。


 図1 Gaussianウインドー

  1. Clearボタン@
     clearボタンは,これまでTS_SearchプログラムのInput FileとOutput Fileテキストボックス内に入力したデータを消去する。

  2. Display ボタンA
     TS_Searchプログラムに読み込んだ分子を線画で表示する。現れるウインドーの中でドラッグをすると分子が表示される。結合パラメータの計算、ミニマムエネルギーパス法等のパラメータの設定にも用いる。

  3. HelpボタンB 
     TS_SearchプログラムのHelpや利用法が示される。

  4. ExitボタンC 
     遷移状態探索システムプログラムを終了させる。
  5. 分子の座標やZ-matrixの読み込みD 
     読み込んだ分子の表示にはJMolを用いる。座標を読みむ前には、その入力ファイルがMOPAC用であるか、Gaussian98用であるかを、File Typeのラジオボタンを選ぶことで、指定する必要がある。
    D-1 Display Mol: このボタンをクリックすると、ファイル選択ウインドーが現れるので、MOPACまたはGaussian98の入力ファイルを選択する。
    D-2 Extract Zmat: このボタンを用いて分子構造を読み込む時、MOPACの場合はarcファイルを、一方Gaussian98の場合は計算の出力ファイルを指定する。この操作によりそれぞれmopファイル、crdファイルが作成される。

  6. IRCの表示E 
    E‐1 Display IRC: このボタンを用いると、IRC計算から結果を抜き出したファイルを読み込み、反応のIRCに沿ったエネルギーと反応のアニメーションを表示させることができる。
    E‐2 Extract IRC: このボタンはIRC計算後、用いた計算結果から座標を抜き出し、新たに.ircファイルを作成する。IRCファイルを用いた動画で、反応機構の詳細を確認することができる。動画のためのデータを作るためには、この操作の後にdisplay IRCボタンをクリックすることが必要である。
  7. 振動の表示と座標変換ツールF
    F-1 Display Vib.: 振動解析の計算終了後、計算に用いた*.datファイルを開き、振動の動画を確かめる。計算方法が何であったかを、File Typeラジオボタンで設定した後に読み込む必要がある。ファイルが読み込まれた後にVibrationウインドーが現れるので、何番目の振動を表示させるかを選択した後、Returnボタンをクリックする。Vibrationボタンの項を参照せよ。
    F-2 Z-matrix <--> coordinate:このボタンは、Z-matrixとデカルト座標を変換するためのツール

  8. 遷移状態探索のためのボタンG 
     各ボタンの使用法については、後で示す。
    G‐1 MinEng: ミニマムエネルギーパス計算を行う。実験4 II-2を参照のこと。
    G‐2 Saddle: Saddle計算を行う。
    G‐3 Contour: 等高線図計算を行う。
    G‐4 Substitution: モデル分子に置換基を付加させた計算を行う。
    G‐5 Ring: モデル分子を環状にする計算を行う。
    G‐6 Run Mopac: MOPACを用いて構造最適化、振動解析、IRC計算などを行う。

  9. GAUSSIAN入力ファイル作成H  
    H‐1 Make Input: Gaussianで計算するための入力用ファイルを、MOPACの座標を用いて作成する時に使用する。
    H‐2 Exit Minp: Gaussian98で行うミニマムエネルギーパス法の結果を抽出する。
    H‐3 Run Gaus98: Gaussianによる計算を行うボタン(UNIX用)。OSがUNIXであれば、そのままGaussian98プログラムを実行させることができる。


2.MOPACウインドー



図2 MOPACのウインドー

  1. Input Fileテキストボックス@
    TS_Searchウインドーで指定された入力ファイル名

  2. Output FileテキストボックスA:
    TS_Searchウインドーで指定された出力ファイル名

  3. HamiltonianプルダウンメニューB 
    MOPAC計算で使用される近似法に関するプルダウンメニュー。下図(A)の近似法の中から選ぶ。

          
      (A)                  (B)            

  4. MethodプルダウンメニューC
    実行する計算の種類をプルダウンメニューから選択する(上図(B))。
  5. ChargeプルダウンメニューD
    分子の電荷を、プルダウンメニューから選択する。

  6. Other KeywordsテキストボックスE
    GEO-OK、RECALC=1など、正確な結果を得るために必要な追加キーワードを入力する。

  7. ParameetersプルダウンメニューF
    ミニマムエネルギー計算や等高線図法で遷移状態を求めるときに必要なパラメータを設定する。
  8. SymmetryプルダウンメニューG、H
    対称性を考慮する計算に用いる。実行結果はDOS窓に表示される。入力や実行エラーも表示されるので、注意してみておく。

  9. RunボタンI
    このボタンをクリックすると、設定したパラメータで計算が開始される。

  10. ReturnボタンJ
    このボタンをクリックすると、MOPACウインドーが消去される。


3.Moleculeウインドー

Moleculeウインドーは、以下に示す3つの機能を有している。


図3 Moleculeウインドー

  1. 結合パラメータラジオボタン@
     ラジオボタンをクリックすることで、計算する結合パラメータの種類を設定する。


  2. エネルギーテキストボックスA
     TS_SearchウインドーのExtract Zmat.で抜きだされた構造のエネルギーが表示される。


  3. 最適化型ラジオボタンと設定テキストボックスB
     これらのテキストボックスは、ウインドー中に現れた分子を構成する原子をクリックすることにより設定される。
  4. Calculate ParamsボタンC
     クリックすると、Bで指定されたパラメータの計算を行う。結果は@−1のテキストボックスに表示される。


  5. Clear FieldsボタンD
     クリックするとBで設定されている値が消去される。


  6. Set AtomsボタンE
    クリックすると、各種の計算で必要とされる原子の番号の設定を確定させ、Moleculeウインドーを消去する。


  7. Enlarge MoボタンF
     クリックすると、ウインドー内のドラッグで分子の大きさを変化させる設定に変わる。


  8. Rotate MolボタンG
     クリックすると、ウインドー内のドラッグで分子を回転させる設定に変わる。

  9. ReturnボタンH
     クリックするとMoleculeウインドーが消去される。


  10. 分子表示エリアI
     読み込んだ分子が、分子表示領域に線画で表示される。表示するためには、ウインドー中でドラッグする必要がある。



4.Substitutionウインドー

 このウインドーは、置換基法(SubstitutionおよびRingボタン)を用いてTSを探すための設定を行う。



図4 Substitutionウインドー

  1. Input Fileテキストボックス@
    入力ファイル名が表示される。

  2. output FileテキストボックスA
     出力ファイル名が表示される。

  3. SubstituentボタンB
     置換基を指定するときに用いる。クリックすると、置換基ラブラリファイル選択ウインドーが現れる。

  4. MethodC
     どのような計算を行うかをプルダウンメニュー(下図A)を用いて設置する。

          
            (A)                         (B)

  5. HamiltonianD
     計算に用いる近似法を指定する(上図B)
  6. ChargeE
     分子の電荷を、プルダウンメニューで指定する。
  7. Other KeywordsF
    正しい結果を得るために必要な、補助的なキーワードを設定する。
  8. Reference atomテキストボックスG
    置換される水素の番号
  9. RingテキストボックスH
    環に変換される部分の原子の番号が記述される。
  10. RunボタンI
    MOPAC計算を開始する。
  11. ReturnボタンJ
    Substitutionウインドーを消去する。


5.Trans_coordウインドー

 CRD<->Z-matrixウインドーでは、次に示す操作を行うことができる。

図5 Trans-coord ウインドー

  1. Coordinatesボタン@
    デカルト座標のファイルを指定する。

  2. Z-matrixボタンA
    Z-matrixのファイルを指定する。

  3. File TypeラジオボタンB
    入力ファイルがGaussian型またはMOPAC型のファイルであるかを、ラジオボタンを選択して指定する。Gaussian型のZ-matrixを用いる時には、入力のタイトル行の先頭にZMATと入力しておく必要がある。

  4. Output TypeラジオボタンC
    出力ファイルの型を、このラジオボタンで指定する。読み込まれたファイルは、ラジオボタンで指定されれた出力ファイルの型で出力される。変換された内容はc:\tempに出力の型に応じて保存される。Gaussian型のファイルを読み込んだ場合にmopac.datの名前で、c:\tempに保存される。

  5. Make paramsボタンD
    座標とZ-matrixを用いて、構造パラメータを算出する。出力は、Output Typeに従って、ts\env.dtの中で指定されたフォルダのgaus.datまたはoniom.datに格納される。必ず座標、Z-matrixの順序で読み込むこと。そうしなければ、正しい結果は得られない。
  6. Make Z-matボタンE
    TS_Searchウインドーで読み込まれた座標から分子のZ-matrixを作成する。作成されたZ-matrixはoniom.datとoniom.datの両方に保存される。後の計算には、都合のよい方を用いる。

  7. BOSSボタンF
    BOSS計算のためのファイルを作成する。座標とZ-matrixを指定した後に、このボタンを押すと、ファイル選択画面が現れるので、もう一組の座標を指定する。次に、分割の大きさを尋ねる画面が現れるので、分割数を入力してボタンを押す。にboss.datが作成される。

  8. CancelボタンG
    ウインドーを閉じる。