第3節 DMOSTARを用いた反応解析

I. DMostarの使い方

 以下にDMostarプログラムでエチレンを作成したときのウインドーをを示した。


  1. 分子表示ウインドー@
     C〜Hのボタンを使って作成する分子が表示される領域

  2. MOPAC計算のキーワードとタイトルを入力するテキストエリアA

  3. Z-MatrixテキストエリアB

  4. ADDCボタン
    新たな原子を追加する。

  5. DelボタンD
    選択している原子(太い丸で囲まれた原子)を消去する。原子を選択するには、該当する原子を単にクリックする。

  6. CH3,C2H3,C6H5ボタンE
    選択している原子を、相当する原子団で置換する。

  7. 置換基プルダウンメニューF
    置換を行うときの置換基を設定する。
  8. Substituent ADDボタンG
    Fで選択した置換基で、選択した原子を置換する。



U.アセトアルデヒドの振動解析

  1. ファイルの読み込みと構造最適化


    1. アセトアルデヒドをDMostarを用いて、MOPACの入力を作成する。保存するファイル名をacetaldehyde.datとする。TS_Searchプログラムを立ち上げる。

    2. MOPACラジオボタンをクリックして、ファイルがMOPACの形式であることを指定する。




    3. Display Mol.ボタンを用いて、保存したファイルを読み込む。





    4. Output File名としてopt.datをOutputテキストボックスに入力する。

    5. Run MOPACボタンをクリックする。現れたウインドーで、Methodプルダウンメニューから、EFを選択する。




    6. 計算が終了するとアラートウインドーが現れるので「了解」ボタンをクリックする。さらに、SearchウインドーのReturnボタンをクリックし、TS_Searchウインドーに戻る。



  2. 振動解析



    1. @Extract Zmatボタンをクリックして、最適化された結果が収納されているopt.arcファイルを指定する。




    2. AOutput Fileテキストボックスにfreq.datを入力する。

    3. BRunMOPACボタンをクリックする。

    4. @現れたSearchウインドーのMethodプルダウンメニューから、Forceを選択する。




    5. ARunボタンをクリックして、振動解析計算を実行する。計算の終了を示すアラートが現れたら、了解ボタンをクリックする。ついで、SearchウインドーのReturnボタンをクリックして、TS_Searchウインドーに戻る。


  3. 振動のアニメーション



    1. Display Vib.ボタンをクリックする。現れたウインドーで、freq.datを指定する。

    2. 計算が正常に終了している場合には、次のMake a vibration vectorウインドーが現れる。




    3. @プルダウンメニューから、1984.1227を選択する。

    4. Make a vibrationボタンをクリックし、振動のアニメーション表示のためのデータを作成する。

    5. JMolのウインドーをクリックし、Jmolをアクティブにする。

    6. @File-Openボタンをクリックして、現れたウインドーからc:\temp\vib.xyzを選択する。
      (注意)vib.xyz Fileはenv.datで指定されたフォルダ内にある。

        


    7. AExtras プルダウンメニューから、Animateを選択する。

    8. 現れたウインドーで、C開始ボタンをクリックすると、C-C伸縮振動のアニメーションが表示される。
      DDismissボタンをクリックすると、アニメーションが終了する。
      Eのスクロールバーを移動させると、アニメーションのスピードが変化する。


V. Menshtkin反応の遷移状態の探索

  1. 初期構造の作成

    1. DMostarを用いてCH3Brを作成する。

    2. 「計算ーMOPAC6スタート」を選択し、作成した分子の構造最適化を行う。

    3. 編集メニューから、『原子の追加』を選択する(下図A)。

         
           (A)                             (B)

    4. 上図右に示したように、@〜Dの操作を行う。この操作により、水素がBrの反対側に位置される。
      @プルダウンメニューからHを選択する。
      A適当な位置をクリックする。
      B、C、Dの順で原子をクリックする。
      B〜Dの操作を行うときには、原子をクリックする順番を間違えないようにする。後の計算でエラーが出るのはほとんどこのミスと考えられる
       
    5. 新たに置いた水素を、CH3-基に置き換える。

    6. メチル基の炭素を窒素に置き換える。最終結果を下に示す。



    7. 作成された分子を、CH3BrNH3.dat の名前で保存し、構造最適化を実行する。



  2. Minimum Energy Path計算の設定
    1. TS_Searchプログラムの「Clear」ボタンで、入力ファイル・出力ファイルを消去する。
    2. MOPACラジオボタンをクリックする。
    3. Extract Zmatボタンで、先に最適化を実行したファイル(CH3BrNH3.arc)から、最適化されたZ-matrixを抽出する。入力ファイルテキストボックスには、\フォルダ名\CH3BrNH3.mopがあらわれる。
    4. Output Fileテキストボックスにments.datと入力する。
    5. 「Min Energy」ボタンをクリックする。以下のメニューが現れるので、了解ボタンをクリックする。



    6. 現れた画面の中でマウスをドラッグすると分子が線画で表示される。Minimum Energy Path計算を行う原子を、@〜Cの順でマウスでクリックする。設定が終わったら、Set Atomsボタンをクリックする。




      a.Moleculeウインドー内でマウスをドラッグすると、線画で分子があらわれる。Minimum Energy Path計算を行うパラメータを設定を行うために、指定する原子をクリックする。このMenshutkin反応の計算では、原子6、原子2(N,C)の順にクリックする。

      b.Set atomボタンをクリックする。

    7. データの設定
      「Set atoms」ボタンをクリックすると、次のメニューが現れる。Minimum Energy計算のための原子は既に設定されているので、変化させるN6-C2距離の初期値と最終値(2.4と1.6)およびその分割数(8)を設定する。


      図2 Minimum Energy Path計算のための入力画面

       このウインドーは、設定したデータが既に示されたウインドーとなっている。ここで設定が必要なデータは、
      以下のものである。
      @ミニマムエネルギーパスの初期値、終値及びその分割の数
      AHamiltoniannの選択、Charge(分子応じて)を設定する。
      B計算に使う場合には、対称性を指定することもできる。
    8. 計算の実行  Runボタンをクリックして実行を開始する。


  3. Minimum Energy Path計算の結果
    1. Minimum Energy Pathの計算が終了すると、以下に示すポテンシャルエネルギーのグラフが表示される。

       
       

    2. ポテンシャルの頂点(この場合1.9A)を確認する。
       
       
    3. Maximum Pointウインドーが現れるので、ポテンシャルの頂点を与える値(1.9Å)を入力し、「了解」をクリックする。




       

  4. 計算結果の処理



    1. 計算が終了したら MOPAC終了ウインドーが現れるので、了解をクリックする。MOPACウインドーのReturnボタンをクリックしてこのウインドーを消去する。
    2. TS_Searchウインドーへの復帰
      TS_Searchウインドーを表示させ、入力のClear Fieldsボタンをクリックし、ファイル名を消去する。
       
    3.  最適構造の抽出 
      Extract_Zmatボタンをクリックし、ファイル選択ウインドーでファーカイブファイル(ments.arc) を指定する。アーカイブファイルからZ-matrixが抜きだされた、ments.mopが作成される。

       

    4. 抜き出された遷移状態をJMOLを用いて表示する。

    5. 結果の確認
       エネルギーなどの結果は、出力ファイルをnote padなどを用いて開くことにより確認する。以下に、最適化されたZ-matrixの例を示す。

      PM3 TS PRECISE CHARGE=0
       
       

      Br 0.00000000 0 0.0000000 0 0.0000000 0 0 0 0 -0.6539
      C 2.35536992 1 0.0000000 0 0.0000000 0 1 0 0 0.1634
      H 1.08807930 1 86.0199318 1 0.0000000 0 2 1 0 0.0725
      H 1.08808021 1 119.5227587 1 83.1429957 1 2 3 1 0.0725
      H 1.08808029 1 119.5228496 1 -83.1429168 1 2 3 1 0.0725
      N 1.88572360 1 93.9812961 1 -179.9998745 1 2 3 1 0.2013
      H 1.00133968 1 110.5143991 1 60.0128964 1 6 2 3 0.0239
      H 1.00133940 1 110.5142985 1 119.9998650 1 6 2 7 0.0239
      H 1.00133951 1 110.5146699 1 -120.0000542 1 6 2 7 0.0239

                 

               図5 計算された遷移状態の構造とそのZ-matrix


  5. 振動解析

    1. ClearFieldsボタンをクリックして、入力ファイル・出力ファイルテキストボックスを消去する。

    2. Display Molボタンで、ments.mopを指定する。また、Output Fileテキストボックスに、freqments.datを入力する。


    3. 「Run MOPAC」ボタンをクリックする。現れるMOPACウインドーのMethodプルダウンメニューで「FORCE」を選択する。Runボタンをクリックすると、振動解析が開始される。



    4. MOPAC計算終了ウインドーが現れたら、了解ボタンを押す。さらにMoleculeウインドーのReturnボタンをクリックしてこのウインドーを閉じ、TS_Searchのウインドーに戻る。




  6. IRC計算とIRCに添った構造の変化の確認

    1. ClearFieldsボタンで、Output FIle、Input Fileテキストボックスを消去する。

    2. Display Mol.ボタンで、先に振動解析に用いたファイル(freqments.dat)を指定する。

      (注意)以下の図のフォルダの名前が、実際の計算と違っている場合には、実際の計算に合わせてフォルダを変更する。

       

    3. Output Fileテキストボックスにircf.datを指定する。



    4. 「Run MOPAC」ボタンをクリックして、現れたMOPACウインドーのMethodプルダウンメニューから
      IRC=1 LARGE=100
      を選択した後、Runボタンをクリックして計算を実行する。

    5. 計算終了後、ReturnボタンをクリックしTS_Searchウインドーに戻る。Output Fileテキストボックスのファイル名をircr.datと変更する。

       
    6. 「Run MOPAC」ボタンをクリックして、現れたMOPACウインドーのMethodプルダウンメニューから
      IRC=-1 LARGE=100
      を選択する。
       

    7. Runボタンをクリックして計算を実行する。
    8. 計算終了後、MOPACウインドーのReturnボタンをクリックし、TS_Searchウインドーに戻る。

    9. ClearFieldsボタンで、Output File、Input Fileテキストボックスを消去する。

    10. Extract IRCボタンをクリックし現れたファイル選択ウインドーで、ircf.outを指定する。すぐにファイル選択ウインドーが再び現れるので、ircr.outを選択する。
      (注意)すぐにファイル選択ウインドーが現れない場合は、計算が正常に終了していない。計算結果を確認しエラーの原因を修正した後、再計算を行う。

    11. 計算が正常に終了していれば、Input Fileのテキストボックスに、ircr.ircが入力される。


    12. DisplayIRCボタンをクリックすると、IRCに沿ったポテンシャルカーブが現れる。


       

    13. JMolを用いて、反応のアニメーションを確認する。アニメーションのデータはC:\temp\xyz.xyzに入っている。このFileを読み込んだ後。JMolのextract-animateを選択すると良い。


W.置換基効果の評価

  1. メチル基のベンジル基への変更

    1. 計算済みのメンシュトキン反応( CH3Br+NH3)の遷移状態構造(ments.mop)を、TS_Searchプログラムで読み込む。

    2. Output FileテキストボックスにPhts.datを入力する。

    3. Substitutionボタンをクリックする。

    4. 現れたMoleculeウインドーで、フェニル基に置換する水素(H3)をクリックする。この操作により、置換テキストボックスに、選択した原子の番号が現れる。



    5. Set Atomsボタンをクリックして、置換の位置を確定するとともにMoleculeウインドーを消去する。
    6. 以下に示すSubstitutionウインドーが表示される。このとき、Reference atomは設定された状態となっている。Substituentボタン@をクリックする。



    7. 現れたファイル選択ウインドーでphenyl,libを選択し、OKボタンをクリックし、選択を確定する。



    8. Other KeywordsテキストボックスAに、recalc=4を入力する。


  2. Substitution計算の実行


    1. RunボタンBをクリックして、計算を開始する。
    2. 置換が正常に行われているか確認するためにアラートウインドーが現れるので、了解をクリックするとMoleculeウインドーが現れる。



    3. 分子表示エリアでドラッグすると分子が現れるので、置換が正しく行われているかどうかをチェックする。このケースの場合、臭素とフェニル基の水素が結合した状態で表示されているが、気にせずreturnボタンをクリックする。
    4. 下図Aのような再度確認のアラートウインドーが現れる。置換が正常に行われておれば、はい(Y)をクリックする。間違っている場合には、いいえ(N)をクリックして、再度置換基の設定を行う。

         
                   (A)                               (B)
    5. 置換した部分の最適化が完了すると、上図Bのアラートが現れる。了解をクリックすると、TS計算が開始される。



  3. 計算結果の確認とIRC計算

    1. 計算が終了したら、再度上図右のアラートが現れる。了解をクリックした後、TS_SearchプログラムのSubstitutionウインドーのReturnボタンをクリックして、このウインドーを閉じる。最適化された構造をExtract Zmatボタンを用いてPhts.arcファイルを指定することにより確認する。以下に、最適化された構造を示した。

              

    2. 遷移状態であることを確認するために、振動解析を行う。Output Fileテキスト欄に、freqPhts.datを入力しRun MOPACボタンを用いて振動解析を行う。上図右に、計算された虚の振動数を示した。

    3. 抜き出された構造を用いて、IRC計算を行う。ファイル名は、Phircf.datおよびPhircr.datとする。

    4. Extract IRCボタンを用いてIRC計算結果を抜き出す。(操作法はV.6を参照せよ。)



    5. Extract IRCボタンでIRC構造を抜き出す。Display IRCボタンをクリックすると、反応座標に沿ったポテンシャルエネルギーが表示される。

    6. ポテンシャルエネルギーの右端をクリックすると、IRCの位置を示すテキストボックスにその位置の値が現れる。Ext. Coordボタンをクリックすると、該当する位置の座標が、PhircR.datの名前で抜き出される。



    7. PhircR.datを読み込み反応物の構造最適化をする。

    8. 最適化された構造をExtarct Zmatボタンを用いて、構造を抜き出す。最適化された構造は、上に示したポテンシャルエネルギー図の中に示している。この構造の生成熱は、Display ボタンをクリックすると、得ることができる(生成熱は、18.344495 kcal/mol)。遷移状態の生成熱(44.786703kcal/mol)との差から、活性化エネルギーは26.4(26.442208) kcal/molと計算される。

    9. 次の反応式のR1、R2を変化させた時のC-N、C-Br距離、活性化エネルギーを計算し表を作成せよ。また、活性化エネルギーを算出せよ。
      R1\R2 p-NO2-Ph- p-H-Ph- p-CH3O-Ph-
      N-C    1.8989   
      H C-Br    2.3939   
      反応物    18.344495   
      TS    44.786703   
      Ea    26.442208   
      N-C         
      Me C-Br         
      反応物         
      TS         
      Ea